晴美制作室 株式会社

27.12.2017Vionnet Japanese Edition 『ヴィオネ』(求龍堂刊)

20世紀モードの変革者マドレーヌ・ヴィオネの作品集

 ヴィオネはジャポニスムやイサドラ・ダンカンのダンス、キュビズム、未来派など、20世紀初頭の芸術運動のうねりの中で、女性の身体の美しいラインを見せる服を作り出し、パリのクチュール界に革命をもたらした。ヴィオネの最も大きな功績は、“バイアス・カット”の発明だった。そのため“立体裁断の祖”とも呼ばれているが、製図には当時最新の数学理論をとり入れ、数々の素材や技法の開発も行っている。ヴィオネは服をデザインするとき、デザイン画をまったく重視せず、木の人形に布をあててドレーピングしながら形を作っていった。キモノから発想した非対称、巻き付け、ねじり、ループ、ハンカチーフ・ヘムやホルター・ネック等々、1910年代から30年代にかけて、ヴィオネのアトリエから生み出された作品は1万2千点にも及ぶ。

 本書は謎に包まれていたヴィオネの人生と作品を、最も完全に、正確に研究した本である。12歳でお針子となってからメゾンを開くまで、またクチュール界における成功と挫折をたどりつつ、ヴィオネの技法や哲学が明らかにされていく。中心となっているのはオリジナル作品からおこされた38点のパターンである。難解とされてきたヴィオネの服の構造が、内側から解き明かされる構成となっている。著者ベティ・カークは、ヴィオネ研究に10余年を捧げ、テキストは日本で翻訳・編集され、初めて出版された。

 アーヴィング・ペンやマン・レイ等による歴史的なファッション写真、貴重なメゾンの記録写真等500余点を掲載した『ヴィオネ』は、衣服デザインのみならずアートを志す人たちの永遠のバイブルである。