08.02.2021ていねいに、一歩ずつ
コロナ(covid-19)のことがニュースになり始めた去年の2月半ば、ドクター取材の出張が入りました。もう10年をはるかに越えて継続している医療情報誌「シエスタ」(JMS発行)の仕事です。
医療ライター、カメラマン、編集と、新幹線で現地入り。毎号出張はあるので、みんな慣れたものです。今回は早朝の取材のためビジネスホテル泊。フロントで翌朝のタクシーを予約しようとしたところ、「どこもいっぱいで取れません」。
こんなことは初めてです。取材に間に合わなければどうしよう!と冷や汗が出ました。バスは出勤客で混むでしょうし、三脚などの機材を担いで乗るのも大変です。もう夜9時過ぎ。タクシー会社のリストをもらって、ホテルの部屋から片っぱしに電話。
「さっきキャンセルが出たので行けます」という声を聞いたときは、ホ~ッと肩の力が抜けました。
大学病院では、ドクターの深いお話を伺うことができて、取材は無事終了。
未知の場所でハプニングを乗り越えながら、未知のプロの方に接して、未知の世界をお教えいただく。これが私たちの仕事の醍醐味です。
新幹線で夕方帰京し、バスに乗った時、「救急車のサイレンが多いな」とフト思い、満杯だった病院の駐車場が脳裏をよぎりました。この日は2月18日(2020年)。横浜に寄港(2月3日)したダイヤモンド・プリンセス号から感染者が出て、混乱の様子がTVで放送されていた頃です。以後は、皆さんもご存知のように感染者が拡大していき、一斉休校やマスク配布(?でしたね)があって、4月7日から1か月間の全国緊急事態宣言。
第2波への対策が叫ばれながら遅々として進まず、年を越えて、現在は第3波の只中です。テレビやSNSで医療従事者の方たちの表情が切迫して行くのを何度も見続けてきました。「私たちは、患者さんの生命を守るのが仕事ですが~~~」という悲痛な言葉も聞きました。一方、政府関係者の対応は、まるで他人事のように感じられ、本当にストレスでした。
今年になって、医療・福祉・コロナ感染を対象にしたクラウドファンディングも多く立ち上がっているのを知りました。感謝を具体的な形にする多くの人たち。勇気をいただきます。世界中、先が見えない状況ですが、ていねいに一歩ずつ、それぞれの現場でやれることをやり、乗り切っていきたいものと思います。