晴美制作室 株式会社

20.09.2007山口小夜子さんを送る夜

9月19日、不思議な送る会に参列しました。

夕暮れのなか、築地本願寺の広い階段の両脇は、淡い色とりどりのキャンドルで飾られていました。迎え火のような明かりに誘われて本堂に入ると、そこは小夜子さんが舞う異界です。古いインド様式の高い天井からは2つのスクリーンがおろされ、羽衣をまとった小夜子さんのシルエットが、読経の流れるなか舞い始めます。白い幕の後ろには、まるで本人がいるかのよう。風のように、水のように、鳥のように、シルエットは変幻自在します。

読経がオルガンの音に変わり、献花の長い列が続きました。シルエットは、いつしか小夜子さんのクローズアップした顔に変わり、「水だけが真実を知っている・・・」と謎をかけるように語りかけます。微熱をおして参列したものですから、正確にお伝えできないのが残念。やがてスクリーンに数多の鳥が激しく飛び交い、さえずり、ざわめくなか、翼を広げた1羽の鳥のシルエットが大きく映し出されて、終わりました。

小夜子さんと初めてお会いしたのは、『中国の不思議な役人』(寺山修司演出・西武劇場・1977)で、娼婦魔耶を演じられたとき。でも初めての出会いといえるのは、『装苑』誌上でザンドラ・ローズのシフォンのドレスを大きく風になびかせた輝く笑顔を見たときです。身体と布と空間が見事なハーモニーをもった生き生きしたページでした。小夜子さんは服に生命を与える力を持った精霊のようなモデル。松岡正剛さんの言葉にあるように、「月界に帰っていかれた」のかもしれません。

明日からはバリ。『踊る島バリ』のマンダラ翁没後20周年記念イベントがプリアタンで開催されています。閉会式までに行きたいと思っていましたがやっと行ってきます!(東海晴美)