晴美制作室 株式会社

11.01.2002COCOON16『四谷怪談』

 昨日、1月10日は、Bunkamuraシアターコクーンで公演中の蜷川幸雄演出・竹中直人主演『四谷怪談』の楽日だった。

 プログラムの編集に携わった私たちが舞台を見たのは初日の12月8日から数えて3日目。今回蜷川さんの作品にしては稽古期間が1ヵ月と短く、出演者たちは4時間の長きにわたる膨大な歌舞伎のセリフとまだ格闘しているように見受けられた。

 演劇は生きものだから、どう変化しているのかもう一度見たい!と思ったが、コクーン担当者から「ご勘弁下さい」とのメール。残念!昨年、早々とチケットは売切れ、補助席も完売で大盛況だったのは、とにかく嬉しい。

 プログラムには、メイン・キャストの友人たちからメッセージを寄せていただいた。竹中さんにはミュージシャンの大貫妙子さんが、藤真利子さんには映画監督の深作欣二さんが、広末涼子さんには高倉健さん……という具合。映画監督の周防正行さんから田口浩正さんに「で、大晦日はダーするの?」「もちろんダーします!」には笑ってしまう。

 編集会議では楽しみつつ、マンネリにならないよう、切り口を熟考する。今回の反省は、『忠臣蔵』の対極にある『四谷怪談』の、忠義に生きる者たちに対し、自ら崩壊していく若者たちを語るページがあれば、時代も生き方も立体的に捉えられてもっとよかったのだが。ページが足りない!

 また、稽古場シーンの写真は初めてのデジカメ入稿。印刷のクオリティ維持にはまだまだ課題があると知る。

 毎回このページが楽しみというファンの多いトーク・シリーズ「ニナガワ・オデュッセイ」は、ドイツ人演出家のペーター・シュタイン氏(今秋、新国立劇場で『ハムレット』を上演)をお迎えしての対談。タイトルは「演出家の終わらない挑戦」。

 時におちゃめに、時に生真面目に、「真実は何百もあると知りながら、最も説得力のあるものを探そうとする。それが芸術家の在り方だと思います」と語るシュタイン氏の言葉には、同席したスタッフ一同が聞き入った。

 HPにはまだアップしていませんが、歌舞伎の幕をモチーフにした表紙に、本文はブラックとイエローのクールなデザイン(Bang!Design)。劇場に足を運ばなかった人にもぜひ読んでほしい!