晴美制作室 株式会社

30.11.2007文化服装学院で「ヴィオネへの挑戦」展

通信教育部の先生たち15名の2年間の研究成果をまとめた展覧会を見た。(文化祭11月2-4日)ヴィオネ作品 (12点)を、二分の一サイズのパターンで裁断をし、組み立てながらヴィオネの発想を学び、仕上げるのに1年。そこから習得した発想と技術を使い、立体裁断でトワル製作、製図作成、応用作品の完成と、さらに1年。

先生方の平均年齢は70歳で、最高齢の方は80歳である。トレーンを持ち上げて2通りのデザインを楽しめたり、キュートなバイアス裁ちのミニドレスがあったり、とても若々しく新鮮だった。教授は、服装形態機能研究所所長の笠井フジノ先生。

a0107655_2323478

笠井先生から初めて電話をいただいたのは、もう何年前になるのだろう。最初の一声が、「この本はバイブルです」だった。大判の『VIONNET』が初めて出版された1991年、本書をご覧になって小杉早苗先生らとヴィオネ研究グループを作られたという。

a0107655_2335820

2000年にその成果を「ヴィオネのトワル展」として文化祭で開催。新聞に掲載されるなど注目を集めた。
2001年に著者ベティ・カークの許諾を得て、『ヴィオネ副読本』を学内のテキストとして出版。
2003年に兵庫県立美術館で「VIONNET服と構造と発想を学ぶ」展を開催。
そして今回の「ヴィオネへの挑戦」展。

ベティも高齢ながら、まだまだ研究を続けている。ヴィオネの服はアイデアの宝庫で、構造を学べば学ぶほど新しい発見がある。分かりやすく言うと、布を斜め使いにすると美しいドレープが出ること、斜めのラインは伸縮することにヴィオネは気づいた。波型やジグザグのヘムライン、布をねじったり、マチで身体に沿わせたり・・裏を表に、表を裏にしたり・・・とても自由な発想で服のデザインを考えた人。布の性質を考え抜き、利用した、自在なデザインはとても美しい。女性に着る喜びを与えてくれたドレスメーカーと言える。

文化服装学院だけでなく、他の学校でも、海外でも教材として使われている。編集者としては光栄であるとともに、本が長生きしてくれるのがなによりうれしい。

「CGなどの分かりやすい解説もいいですけれどね。頭でなく、体で学ばないと。この本を読みながら作ってみることが大事。身体と手で学んでいくうち、発想も生まれてくるんですよ。アジアの学校にももっと広めたいけれど・・・」と笠井先生。

ベティさん、笠井先生、長生きなさって、もっともっとヴィオネの魅力を伝え続けてくださ!!

(東海晴美)